March 2012

March 02, 2012

『痔』線上のアリア

いやー、笑った笑った。
申し訳ないけど。

■「この俺が、痔...!?: 外資系ブランドマネージャーが語る 痔闘病記」
 http://blog.livedoor.jp/pilestory/archives/1802137.html

私「ねえねえ、面白いブログ見つけちゃった。ちょっと読んであげるね?」

あまり長文を読むことを好まないオットのことを熟知している私は、上記のブログを流暢に読み上げた。

夫「肛門周囲膿瘍か…。あれはタチが悪い。治りが遅いので厄介者だ」

私「私さー、最初『肛門周囲膿瘍』って聞いたとき、たまにお尻のほっぺあたりにできるニキビみたいなかわいらしいものかと思っててたんだけど、違うんだねー」

夫「まあ、肛門周囲膿瘍はだいぶ重症のたぐいだが、日本人の二人に一人は肛門に何らかのトラブルを抱えているものだ」

(※注・ご存じない方のために。オットは内科→外科→ただ今は眼科の医師です)

私「えっ?そうなの? 悪いけど私、ソッチ関係とは無縁だわー。あ、ごくたまーに、大きいのが大きすぎて(この表現でお察しください…)切れちゃうことがある程度だなー。便秘体質だから固くなっちゃうんだよね。すぐ治るけど、ちょっと痛いよね」

夫「…オマエは幸せ者だ…」

私「…え?」

夫「『ちょっと痛い』なんて、そんなものは『痔』とは言えん」

私「…え?」

夫「『痔』とはな、『ちょっと痛い』なんてもんじゃない。『すごく痛い』んだ」

私「…え?」

夫「大変不謹慎だと思いつつも、人工肛門になってしまった人を、むしろ羨むくらい、排泄に困難をきたすのだ。そう感じてはじめて『痔』と称することが許されるのだ」

私「…え? もしかして、あなた、『ぢぬし』?(not 『地主−じぬし−』、『痔主』)」



夫「………そうだ………」



懊悩!
じゃない!
Oh! Nooooow!

自分のオットが『痔主』だったとは!
衝撃のカミングアウトを絶妙のタイミングで果たしたオットへのリスペクトを込めて、私は恐る恐る尋ねてみた。



私「…切れ痔?イボ痔?」

夫「…肛門周囲膿瘍だ…」

私「!」



ブログにもある、『キング・オブ・痔』を、我が愛するオットが抱えていたとは!
襲い掛かる激震の余波は、さながらあと数日で1年を迎えようとするあの大惨事の際の震度を彷彿とさせるくらいの威力である。


私「…い、痛くないの…?」

夫「痛いにきまっておる!」

私「…外に出ているの?」

夫「当たり前だ。これだからシロウトは!」

いえあのシロウトもなにも。
医学的にも痔的にも確かにアナタ様のおっしゃるとおりではございますが。

ここらへんで、オットは私が中盤あたりから徐々自分ににじり寄ってきていることに気か付くべきであったのだ。



私「………見せて………」

夫「は?」

私「見せて…」

夫「なに!?」

私「見せて!」

夫「…!何を…!やめっ!ちょっ!おまっ!ばかっ!やっ、やめろーーー!」



オットは身の丈187センチ、欠かさぬ水泳で鍛えた体はさながらローマ彫刻のようだと形容しても罰は当たらないであろう。
対する私はわずか151センチ、安穏とした生活で筋肉は衰え、俊敏な動きからは遠ざかってしばしの時がたっている。
普通であったなら、こんな無差別級バトルに挑むことはとうてい無理だと誰もが口を揃えて言い、それに意を唱える人は皆無であろう。

しかし!

−−−信じることさ、必ず最後に愛は勝つ−−−

そう、カンという歌手についてはよく知らないが、彼の言うことは正しかった。

そのときの夫の服装も、天が私にみかたをしていてくれたとしか思えない。
日本人の誰もがその恩恵にあずからなかったことはないであろう(二重否定・言い換えると強調構文)、ユニクロさまのルームウエア、つまり、ウエストがゴムの、スウェットだったのだ。

我が愛するオットの身体に、私がまだ見ぬ物体が付着、いや、突出しているらしいのだ。
妻である私が見ずしてどうする?
いや、そんな理屈ではない。
嫉妬?
それもあるやもしれぬ。
でもそのときの自分の心をしめていた感情を言い表すのは極めて難しい。
あえて分析するなら、

   嫉妬…3%
   憐憫…3%
   使命感…5%

   好奇心…80%

   わからない…9%

        (当社比)

というところであろうか。

このイケてるクラブのDJが絶妙にフューチャリングしたような高揚した感情にかなう敵は、もはやその場には存在していなかった。

私は眼にも止まらぬ早業でオット下半身をまとう布類を歌舞伎の引き抜きのような見事さではぎとり、自分の四肢を信じられないような効率的かつパワフルに使いこなし、オットの露出した臀部を自分の眼前に引き寄せることに成功したのである。

………ワレ キシュウニ セイコウセリ………

日本国の先達に敬意を払いつつ、私が心の中で唱えた文言だ。

いや、自分の功に酔っている場合ではない。
問題は正に目の前だ。

ここらへんにくると、オットも観念したのか、無駄な抵抗を止めた。
そして自らの男としての尊厳を根こそぎもぎ取られた今となっては、医師としてのプライドにかけるしかないと瞬時に判断したのであろう。
おもむろに自らの症状を淡々と解説し始めたのである。医学用語を交えつつ…。

その時のオットの説明は、残念ながら記憶にない。
私の脳裏に残っているのはただ一つ、一つのみだった。



「………あのブログは正しかった………
      ここに、まごうことなきマスカットがある………(ただしピンク色)」


spb-0039 at 19:29|PermalinkComments(2)TrackBack(0)